HOME > 一日保育士体験の本の紹介
● 第1章 子どもの笑顔!一日保育士体験
● 第2章 子どもの育ちと親のかかわり
● 第3章 子どもと向き合う
● 第4章 親が顔やとして育つとき
● 第5章 保育園というところ、保育士という仕事
● 第6章 親心を育む
● 巻末付録 一日保育士マニュアル
定価 1,600円+消費税
親子の絆、保護者と保育士の絆が深まり、子ども達の成長だけでなく親として成長させてくれる一日保育士体験は、大きな力を与えてくれます。そして、未来へと受継がれ明るい社会の手助けとなるのです。この本は一日保育士体験を実践しその感想と願いが込められています。
紹介本の補完としてお読みください。
日本経済新聞平成20年12月27日発行記事
保育園と保護者の絆が深まれば、より良い子育てにつながる。そんな考えのもと、保護者に「一日保育士体験」をしてもらう園がある。「親心を育む会」(埼玉県熊谷市)の代表である園部浅子さん(埼玉県行田市の行田保育園園長)に、具体的な活動を報告してもらった。
「普段は、忙しく、先生の顔や保育内容も分からなかったが、よく知ることができた」「紙芝居を読むのは、会社でプレゼンするより緊張することに驚いた」
「一日保育士体験」に参加した保護者の感想の抜粋だ。「親心を育む会」は2007年6月、民間の認可保育園の園長らが集まり発足した。保育の情報交換もするが、大きな柱は一日体験を広めていくことだ。
十年程前から仕事で忙しい保護者が増え、園の中をじっくり見たり保育士とゆっくり話したりする機会が減ってきた。ともすると保護者は単なる利用者になってしまう。
「子どもがどう育つかは、親がどう育てたいかより、保育園の影響が大きい」といった保護者の声を聞くようになった。「お任せ」でなく、もっと園を知り、保育に加わってほしい。そんな思いで「一日保育体験」は始まった。
会員のうち二十園ほどが実施している。丸一日、原則一クラスに一人まで。
保護者全員が基本だ。園の仕事は多岐にわたるが、絵本の読み聞かせなど、子どもと遊んでもらうことに重点を置く園が多いようだ。子どもたちに大歓迎されるうちに、保護者の心にいつもと違うスイッチがかちっと入るのが分かる。
ある園では、体験の第一号が若いシングルファザー。ぶっきらぼうな様子に職員も最初ははらはらしたという。だが、丸一日の体験を終えた父親は、開口一番「もう少し遊んでいってもいいですか?」。園庭で待つ子どもたちを一人ずつ「たかい、たかい」と抱っこしてあげていたという。
丸一日、園にいることで、保護者は、家庭にいるときとは違う、集団のなかでの子どもの様子を知ることができる。お昼寝の時間などを利用し、保育士とじっくり話すことができる。
体験は、保育士にもいい影響を与える。普段の短いかかわりだけだと、つい「いつも遅くなるまで子どもを預けている親」などのイメージで保護者を見てしまいがちだ。しかし、一日一緒に過ごすと、家庭や仕事の事情などが見えてくる。事情が分かれば、お迎えが遅くなることに保育士も理解を示すことができる。
すると保護者も保育士に相談しやすくなり相互理解が深まる。
また、一日保育士体験に取り組むことは、常に園内に保護者の目があることでもある。体験後に保護者が書いたアンケートをきっかけに、給食の配膳方法を改めた園もある。クラスによって食べるころに少し冷めてしまう事が合ったのだ。手順上やむを得ないと思っていたが、改善のいいチャンスになったという。
保護者が園内にいることにより保育士の意識が変わる。それが保育の質の向上につながるのではないだろうか。「クレームではなく、言いたい事を言い合える信頼関係ができた」。ある園の園長はそう話す。
保護者からは「子どもも喜んでおり、親にとってもプラス」「毎年続けてほしい」と声があがっている。父親の参加や、親同士の交流も増えている。
一日でも忙しくて負担、という保護者もいるだろう。しかしそこで生まれた保護者と園の信頼関係はずっと続く。共に助け合いながら子育てする環境をつくり、地域で失われた人々のきずなを取り戻す第一歩ともなる。会ではマニュアルも作成した。会のホームページから見る事ができる。実施していない園でも、保育士とよく話したり、連絡帳をこまめに記載したり、保護者にすぐできることは多いはずだ。小さなことでも、積み重ねが大切。互いの利害と信頼関係が、よりよい子育てにつながっていくだろう。
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